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銀色異世界人が出て行ってからどれくらい経っただろうか。わたしはひとり、小屋に取り残され、毛布にくるまっていた。
身体が震えてくるのは、寒さというよりも理絵への心配からくる恐怖だ。こんなところでぬくぬくして、一時でも理絵の事を忘れていたことに愕然とする。
外では小屋が揺れるほどの風が吹いている。理絵も心配だが、彼は大丈夫だろうか。
さらに時間が経ち、日が傾き始めた。今のわたしに出来るのは、祈ることしかない。
心細さと不安と後悔と。マイナスの感情がごちゃ混ぜになって、涙が出てきてしまう。イセカイなんてどうでもいい。神様がいるのなら、理絵を助けて。
その時、勢いよくドアが開いた。わたしは不意をつかれてぎょっとする。入口から銀色異世界人の大きな身体がのっそりと入ってくる。ほっとしたのもつかの間、わたしはもう一回驚いた。彼の後ろに銀色異世界人がもう一人いたからだ。
「マタセタネ」
彼がわたしに声をかけてくる。しかし、もう一人の方が気になって、返事が出来ない。
同じような姿だが、彼に比べるとかなり小柄だ。そして、なんだかたぶついている。まるで銀色のスーツを着ているみたいに。
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