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「あの、そちらの方は」
恐る恐る聞くと、小さい方の異世界人がわたしの方ににじり寄ってきた。
「オマエガサガシテイルノハ、ダレダ」
彼女は、両手を前に突き出し、やたら甲高い声で話しかけてくる。その様を見て、わたしは何だか力が抜けてしまった。
「……無事でよかったよ、理絵」
「あれ、バレてる?」
彼女が頭の覆いを取ると、見慣れた小動物のような理絵の小顔が現れる。
「せっかくガスで声色まで変えたのに、なんで一発で見破っちゃうかな」
「胸の形が理絵だもの」
「変態か」
理絵が反射的に胸を隠す。十七年も一緒にいれば、大概のことはわかるものだ。
「あんたが身元不明遺体になっても、見分ける自信あるよ」
「やめてよ、縁起でもない」
「……うん、そうだね、ごめん」
「ちょっ、天音? 泣かないでよ」
わたしは安心し過ぎて、涙が出てきてしまった。とにかく、理絵にまた会えて本当によかった。
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