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十一.
と、停止していたはずの手術台から複数のアームが伸びて凛に襲いかかる。
「どうして動く!」
慌てて飛び退く凛に、
「このプラントはただの身体部位保管庫やつぎはぎ人間製造所では無いわ。
データからは消させてもらったけど、人格の『設定』って、実際どういうことかわかる?」
女が無機質な笑みを浮かべた。
「何を言っている」
「私たちが今いるここ、このラボが本来のプラントの中枢なのよ。
ヤン博士が作り上げた、無から生命やそのパーツを生み出す新時代の生命生産システム。
必要な物質を揃えれば、人間の脳でさえ、そこに宿る人格と呼ばれるものでさえも、設定通りに自由に生産できるわ。
さすがにかなりの時間がかかるのだけど」
「つまり……お前たちがそうやって造製されたという話か。
だが今そんなことはどうでも……」
「それがどうでも良くは無いのよ。
ここからが重要なのだから。
無から生み出すついでに、ヤン博士はそれほど複雑でも無い人間の脳に少しだけ追加の機能を加えてみたの。
こんな感じにね」
と、女の言葉が終わると同時にラボの照明が一斉に灯り、周囲の全ての機器が稼働し始め、
「うわぁっ!?」
凛の背後で悟が声を上げた。
「悟!?」
振り返ると、またしても悟がアームやケーブルに拘束され宙に浮きもがいていた。
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