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十二.
「私たち造製人間はね、プラント内では、プラントAIと無線で自由に繋がることができるのよ」
と、凛の左右に並んだ金属ケースが蓋を開き、飛び出した幾つものアームが、先端の注射器を次々に凛の全身に突き刺した。
「くっ…!」
「動いちゃ駄目よ、あなたは私の大事な子宮なのだから。
薬物で汚染したら洗浄に時間がかかるし機能に支障が出るかも知れないじゃない……っと」
言いながら歩み寄る女の足元がぐらつき、膝の辺りに出血が見られた。
さらに女は、口元からこぼれる吐血を指先でぬぐう。
まさかこいつ、サプリ切れで腐りかけているのか?
思いながらも身動きの取れぬ凛の元へと女が辿り着き、凛の下腹部を愛おしそうにそっと撫でた。
「このラボでなら、もちろん赤ん坊だって無から生み出し育成できるわ。
でもそれじゃ駄目、そんなの嫌なの。
私は私の子宮で生命を育み出産したいのよ、私の子供を。
あなたも女ならわかるでしょう?」
と、じっと凛を見詰め微笑んだ女の目は、左右で微妙に虹彩の色や瞳孔の大きさが異なっていた。
そうか、完璧に美しいのにどこか違和感があるのは、一つ一つのパーツは完璧なのにその組み合わせ、バランスが完璧では無いからだ。
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