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八.
ふいに部屋の明かりが消え機械音が止まり、体を拘束していた器具が全て解かれた。
「!?」
驚きながらも凛はマスクを引き剥がし投げ捨て、飛び上がると、女の去った方へ手術台を飛び降りた。
同時に非常灯が灯り、照らされた広い研究室のような空間の薄闇の中、こちらを振り返る女の姿を見出す。
一糸纏わぬ長い黒髪のその女は、やはり全身どこをとっても、同じ人間とは思えぬ程に美しかった。
だけどなんだろう、どこか違和感がある。
と、女が背を向け数メートル先の扉へと駆け出した。
「待て!」
凛が追うが、女はまるでネコ科の野生動物のようなしなやかさと素早さで一瞬にして扉に飛びつき手をかけた。
が、突然女の頭上の通気孔の柵が開き、何かが落下して女を押さえ付けた。
「悟!?」
「ギリギリセーフだな!
主電源は落とした!
こいつは四体目の造製人間だ!」
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