九.

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九.

「四体目!? 記録じゃ造製人間は三体だけだったはず!」 「さっきどうにか脱出してこっちに向かってくる途中で、中央制御室に入って確認した! 巧妙(こうみょう)にデータが改竄(かいざん)されてたんだ! 捜査が入る直前に四体目が造製されて当選者の元へ送られてた! その造製記録も発送記録も全部丸ごと書き換えられてた!」 「改竄(かいざん)!? でもそんなこと一体誰が……(さとる)!」 女を押さえ付けていた(さとる)が突き飛ばされて床に転がった。 「()って……なんて怪力だ……! くそ、俺はIT専門で格闘とか苦手なんだよ! (りん)!」 (さとる)の言葉に答えるよりも早く、(りん)は女に(つか)みかかる、が、女は瞬時に飛び退()き部屋の反対側へと疾風(はやて)のように駆け去った。 と、見えたが、ふいに足元がぐらつき倒れ、立ち上がって振り返った。 「あらいやだ、サプリの増産はまだかしら」 首を(かし)げてつぶやく女と(にら)み合いながら、(りん)は調書を思い出す。
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