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プレゼントをさがしに
カチカチ──無機質なクリック音だけが室内に響いている。
ページをスクロールしては次ページへのクリックを、もう何度繰り返したか。
「検索のしかたが良くねぇか? えっと……彼氏・プレゼント・メンズ・おしゃれ」
カタカタ、カチッ──インターネットブラウザの検索窓に文字を入力してマウスで検索ボタンをクリックする。
パッと画面が切り替わり、膨大な量の検索データが表示されると、思わず瞬きを数度──マウスを手離し、椅子の背もたれへと上体を反らせる。
キャスター付きの椅子がギッとやや軋んだ音を立てた。
煌々と輝く光沢仕様のパソコンモニターに、薄らぼんやりと映り込む自分の顔。その表情はなんとも例え難いものだった。こういう類の検索は、とんでもなく不得意だ。きっと先輩である志賀龍之介や、友人の喜多里黎斗、田原昭彦らなら、難なくやってのけるだろう。
なにせ彼らはセンスの塊のような人間だ。普段身につけているものや持ち物なりを見ていればわかる。人と被らない個性的なデザインであったりオーソドックスなものでも洒落たワンポイントが目を引くようなものだったり。
その人が持つセンスを感じるモノ選びが、彼らは抜群に上手い。身近にそういう人がいるのだから、頼ってしまうのも一つの手だ。それでも、そんなモノ選びに定評のある彼らを頼ることができないのには理由がある。
「恋人の誕プレひとつ自分で決められないとか、どんだけヘタレだっつーな……」
参ったとばかりに、頭の後ろで手を組んでそこに頭部の体重を預けると、さらに深く沈み込む椅子の背もたれが、またギッと歪な音を立てた。
「月冴は色々考えてくれるのにな」
覇気のない台詞が口をついて溢れる。
クラスメイトであり恋人でもある曇狼月冴──彼の無邪気な微笑みが脳裏に浮かんでは消えていく。
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