プレゼントをさがしに

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 翌日。  いつもは深夜まで本を読み耽ってしまうから、アラームが鳴ってもスッキリと起きられないのに、月冴の誕生日当日ということも手伝ってか、すんなりと起きることが出来た。  それでも日に日に冷え込みが厳しくなっていく冬──ベッドの足元側から掛け布団をめくると、ブレザー以外の畳んだ制服が姿を現す。  夜中のうちにスイッチが切れるよう電気毛布のタイマーを調整してある。その上に置かれた制服は、尚斗の目論見通りしっかりと温まっていた。  ほんの少しの肌寒さを我慢して着ていたスウェットの上下を脱ぎ、温かい制服に着替えると、ほぅっと溜息が漏れた。箪笥の引き出しから靴下を出しベッドに腰掛けて履いてから今度は持ち物を整える。  読みさしの小説をはじめ、授業で使う筆記用具に提出用のプリント、亮平から『たまには漫画も読めよ!』と押し付けられた少年漫画、それから──。 「月冴へのプレゼントも持って行かないと」  いくら包装してあるとはいえそのまま渡すのもと、ギフト用のペーパーバッグを改めて買求めておいたから、それにプレゼントを入れる。嵩張らないようにしてスクールバッグの中にしのばせた。  週の初めで部活があるため放課後は集まれないから、昼休みに誕生日祝いをするという話を昨夜のうちにいつものメンバーにはMOIN(モイン)で連絡済みだ。  スクールバッグを肩に、ブレザーを腕に掛け、自室である離れの部屋をあとにすると母屋に向かう。すでに泰正は仕事に出てしまったようで、家屋のどこにも人の気配はなく、台所へ向かうと、テーブルの上に一枚のメモと菖蒲色の風呂敷が畳んで置いてあった。  そこには、おはぎの入った重箱を包んで持っていくように書かれている。泰正が気を利かせて用意してくれたようだった。  冷凍庫から、昨日買ってきた限定商品のおはぎが入った小さめの重箱を取り出し、風呂敷を広げて包む。  尚斗は包みをテーブルに置いたスクールバッグに水平になるよう入れ、今度は戸棚の方に向かう。
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