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昼休み。
前日に打ち合わせした通り、馴染みの面子で屋上へと集まる。
昨夜見た天気予報では今日一日快晴だと、女性の気象予報士が解説していた。
冬晴れで日向は暖かいとも言っていた。
だからこそ選んだ場所だったのだが。
「……寒い」
吹きすさぶからっ風を受けながら、体を両腕で抱きしめるようにしてボヤく。
「日向は温かいけど風がねぇ」
尚斗の横で、困り顔をして笑うのは今日の祝の主役である月冴だ。
日当り良好、普段は多くの生徒で賑わう屋上も、季節風の影響か閑散としていて、尚斗たちのグループ以外に利用する人影もない。
ここに来る前、教室を出ようとした尚斗たちのクラス委員長である喜多里彩斗が杞憂の表情を浮かべ、心底心配そうな声で「期末前だし風邪引かないでね」と伝えてきたのは記憶に新しい。
地べたに座ったことを後悔するくらい、コンクリートの冷たさがスラックスを越えて地肌に伝わってくる。
「見ろよコレ! 今日の弁当焼きそばだけどくっついちゃってまるごと持ち上がんぞ!」
昼休みに昼飯を食べない理由がないとばかりに、持参した弁当箱の蓋を開けるなり騒いだのは亮平だった。
真ん中から焼きそばの麺を箸でつまみ上げると、彼の言った通りまるごと焼きそばが弁当箱から持ち上がる。
ズボッと抜ける効果音が聞こえてきそうな状態に、尚斗は表情を引きつらせた。
「学食のレンジ借りてくれば良かっただろ?」
昭彦が呆れたような声を上げた。
付き合いの長い幼馴染なだけあって言い方に容赦がない。
そんな昭彦に、
「ヤダよ! すんげ並んでたじゃんレンジの前! みんな弁当温めすぎだって!」
亮平は口を尖らせて反論した。
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