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「ちょうど干支の根付守り買おうかと思ってたんだ~! 尚斗、ありがとう!」
パァッと花が咲いたような笑顔に面食らう。
どうやら尚斗の杞憂だったようだ。ホッと胸を撫で下ろす。
ニコニコと満面の笑顔を見せ、手にした根付を見つめる月冴を見た尚斗の心がじんわりと温かくなる。
「ンとにさぁ、お前ら最近容赦なく二人の世界に入りすぎ!」
「早いとこ昼飯食わないと、せっかくのソレ、固くなるんじゃないか?」
真横でくっつきあった焼きそばを食べながら、亮平がジトリと尚斗を睨む。
月冴の向かい側に陣取った昭彦が、視線だけで蓋を開けたままの重箱を指した。
「そうだね。俺たちも早いとこお弁当食べちゃおう」
「あぁ……あれ、俺の買ってきたパンは……?」
月冴に促されるがまま昼食用の惣菜パンを探すも見つからない。
……おかしい、すぐ横に置いておいたのに。
「あー! 亮平! 尚斗のパン踏んずけてる!」
周囲を見回しキョロキョロする尚斗とは違い、床面を重点的に見ていた月冴が突然大声を上げた。
「え、あーッ、悪ィ! まさかすぐ横にあるとは!」
「……俺のハバネロカレーパンが……」
コンビニの袋に入ったカレーパンは押し潰された影響で見事にひしゃげ、中のカレーが包装袋の中に飛び出していた。
なんとも食欲を削ぐ見てくれに溜息がこぼれる。
食えば一緒とはいえ、これはひどい。包装袋が破れなかっただけでも幸運なのか。
「尚斗、よかったら使う?」
月冴が予備の割り箸を渡してくれる。……これはこれで有り難い。
袋を開け、中のカレーを割り箸でこそげ取りながらカレーパンをちびちびつついていると、
「んふふ~」
自分で作っているという弁当をつつきながら、月冴が楽しそうに笑う。
その視線の先には、尚斗が用意したクリスマスカラーのおはぎがあった。
「早く食べたいな~、どっちから食べようかなぁ」
ニコニコと笑顔で食後のデザートを待つ月冴を見た尚斗の表情が綻ぶ。
(月冴が喜んでくれて良かった……)
来年も再来年もまた、君の誕生日を一緒に祝いたいと、尚斗は心の中でそう思った──。
【プレゼントをさがしに_完】
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