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メニュースタンドに立ててあるしっかりした表紙のお品書きを手に取り、泰正に見やすい向きでテーブルの中央に広げると覗き込む。
「えっと、大葉味噌の焼きおにぎりは……あ、今の時間ランチみたい。お味噌汁と漬物が付くって」
「玄米と焼きハラスのおにぎりも捨てがたいですね」
「ランチは好きなおにぎり二個と味噌汁の種類を選べますって書いてあるよ。どうしよう? そうする?」
「今日の味噌汁はわかめと油揚げに、けんちん汁ですか。いいですね、体が温まりそうだ」
「おにぎりが10種類もあるんだね。俺、高菜明太と大葉味噌にする」
「じゃあ僕は玄米焼きハラスと大葉味噌で」
店員に声をかけ、それぞれおにぎりランチを注文した。
料理が運ばれてくるまでの間はこれから見に行くプレゼントやお年賀のことなど他愛もない話をして過ごし、やがて運ばれてきた料理にふたりで舌鼓をうった。
食後のお茶を飲みきり少し休んでから席を立つ。
レジで会計を済ませ、連れ立って店を出ると、まずは月冴へのプレゼントを探しに階上に位置するウエアハウスへと向かった。
ここはコスメやバラエティ雑貨、文具、インテリアなどが一同に集結する大型生活雑貨店である。贈り物の目星がなくともここに来ると大抵はその問題を解決できるし、サービスカウンターでラッピングなども請け負ってもらえるから、尚斗も都心部に出てきた際によく利用している。
仕事用の手帳を見たいという泰正と一旦別行動を取ることにして、尚斗は主にバラエティ雑貨や文房具が置かれているコーナーへ足を運んだ。
ディスプレイにはいくつかギフト仕様にされたものも展示されている。
流行りのバスソルトや、ハンドクリーム、ルームフレグランスなどが所狭しと並び、一緒にいかがですかと言わんばかりにタオルハンカチが陳列されている。贈る相手が女性ならこういったものでも喜ばれるだろうが……。
(さすがに可愛すぎだよな……それに肌との相性もあるだろうし)
直接肌に触れるものは、本人への影響を一番に考慮しなければならない。
特に月冴はワイシャツなど固めの素材を利用した衣類に肌抵抗があるらしく、学校に着てくるのはもっぱら柔らかいTシャツ素材のシャツばかりだ。
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