イチキヒメの財宝

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「大変です、大変です、先輩」 「どうした、砂かけババアでも出たか?」 「確かにババアっぽいけど、砂かけババアではありません。イチキヒメです」 「あの、お前の出身地、沼津市の淡島に祀られている?」 「そうです。あの土蜘蛛一族の財宝が眠っていると、僕が死んだ父から聞いた淡島です」 「何処にイチキヒメが出たんだ?」 「静岡市の古庄にある淡島神社にです」 「どうせ撮ったんだろう。見せてくれ」 「これです」 「白髪の人物が社の中に居るだけじゃないか」 「この人物に心当たりがあるのです」 bd728bfa-98d0-4370-bd58-50600404918a 8437827c-d684-496a-924e-f5b763adc30d 文庫瑠璃の不思議な話し。 「先祖のお墓」 ある日、夢を見ました。誘拐されて、タクシーに乗せられ、何処かの山腹にある御寺に行く夢です。 其処には古い墓石のある斜面があって、門の前に白髪の人物が立って居ました。 白髪の人物は、如何にもと言った風に、所謂両手を広げたモンスターのポーズを取っていて、こちらを狙っていました。僕は斤を取って白髪の人物の首を跳ねました。地面に転がる首を更に叩き割ります。此処で場面が変わり、墓地の場面に移ります。古い墓石に手を合わし、墓参りを終えると、山麓の村と港が見えました。古い舟が並んでいる光景です。 夢は此処で終わります。 そして、数日後、父から、「先祖のお墓が、その御寺や港の光景に似ている」 と聞いて墓参すると、山頂から眺める漁村の光景にそっくりだったのです。 あの白髪の人物が誰なのかは分からないままでした。 でも数日前、静岡市の淡島神社に行き、社の写真を撮ると、この写真が撮れたのです。 「白髪の人物が社の中に居る。夢に出てきた白髪の人物と似ているのか?」 「はい、沼津市の淡島にはイチキヒメが祀られています。父から聞いた財宝に興味があって、同じ淡島神社に財宝を見付けるヒントを下さいとお願いしに行ったのです。その時に撮った写真に、この白髪の人物が写ったのです」 「財宝か、、、。俺は幾ら貰える?」 「あげませんよ」 「ケチだな。協力しても良かったのに」 「淡島神社にヒントを求めたので、また夢でも見たら教えてあげかもしれません」 了
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