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かわいそうな魔王
姫は水晶玉を見るなり、大笑い。
「あはははは!くだらないことでもめてる! 言っとくけど、あんたの見た目なんて私、気にしたこともないんだから!」
「……哀れなものだ、国王も勇者も」 魔王はため息をつきながら、時々グラグラと揺れるジェンガに手を伸ばす。 そして、ゆっくりと一本引っこ抜いた。
「さあ、次はお前の番だ」
「ええ~、ちょっと待ってよ!これ、もう崩れる寸前じゃん!」
「だったらお前の負けだな」
「むうう……あ、大変!地震!!!」
姫は突然そう叫ぶなり、床をバンとたたいた。 その瞬間、ジェンガが大きく揺れて、バラバラと床に崩れ落ちてしまった。
「ああ!お前、何やるんだ!」
魔王が叫ぶも、時すでにおそし。
「あ~あ!魔王の負け!」
「何言ってるんだ!お前がやったんだろっ!」
「魔王のターンでジェンガが崩れたんだから、魔王の負けよ。 罰ゲームに、とびっきりのスイーツを持ってきてねっ!」
「はあ……」
全く、俺はどれだけ姫に都合良く使われているんだろうか。 そう思うと、魔王は自分自身が情けなくなってきた。
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