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極上のクルーズトレイン 1.ロイヤルスイートルームの夜
「あ……っ、んぁ、あぁっ」
「綺麗だよ、結菜。きみとの出会いは運命だ」
心地よい低音が耳もとで情熱的にささやいた。
〝一夜のあやまち〟なんて、きっと明日には後悔する。
そんな常識的な考えが一瞬頭をよぎったけれど、わたしはためらいを振り切って彼の背中に腕を回した。
わたし、かなり酔っ払っているのかもしれない。
平凡なOLには縁遠い高級なワインを飲みすぎたせいか、どうしてもロマンチックな雰囲気に逆らえない。
「んっ、東條さん」
「名字じゃなくて、名前を呼んで?」
有名な女優の血を引く端整な目鼻立ち。三十二歳の男性というのが信じられないほど綺麗な肌。
美しい顔がとろけるように優しく微笑む。黙っていると冷たく見えるけれど、今の彼の表情はとても柔らかい。
今夜飲んだアルコールよりもずっと、わたしはこの状況に酔っていた。
「い、伊織さん」
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