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***  次の日、秋生は学校を休んだ。その次の日も。さらにその次の日も。  四日目にしてようやく登校してきた秋生は、顔面にひどい痣を作っていた。青っぽく腫れた目元。痛々しく盛り上がった頬の瘡蓋。切れた唇。それは明らかに、暴力の痕跡。  噂が流れ始めたのはその時からだ。秋生が廊下を歩くたび、その噂は絵の具に水を垂らすように広がっていく。じわじわ、じわじわ。  間もなく、茂樹の耳にも入ってきた。  あの日、被服室で。  川端秋生が澤村花純に手を出した。  花純は拒絶し、顛末を聞いた真部徹が秋生に制裁を下したというのだ。 「川端くんって可愛い感じの人だと思ってたのに。無理矢理迫るなんてサイテー」  誰かが言った。 「真部の女に手を出すとか勇気あるよな」 「ていうか、あいつってそっち系じゃなかったんだ。もしかして、澤村に近付くためにそっち系装ってたとか?」 「こわっ。つーか、きっしょ」  あとは、悪評が湧くばかり。  秋生は何も言わなかった。何ひとつ否定もしなかった。ただ、黙って自分の席に座り、虚ろな目で黒板を見つめていた。
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