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「あ、あの、ご、ごめ、えっと」
「ねぇ、もうちょっと……寝よ?」
ほぼ寝ぼけているであろう永井くんが、猫なで声で誘ってくる。
されるがまま、もう一度彼の胸に顔を埋める。すーすーと彼のかわいらしい寝息が聞こえて、心臓の音がトクトクとなっている。
ぬくもりを感じていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。もう一度目を覚まして体を起こすと、彼の姿は部屋の中にはなかった。
ベッドの下でくしゃくしゃになっていた服や下着を取ろうと手を伸ばしていると、ガチャッとドアの開く音がする。
「あ、起きてた」
「お、お、おはよ」
すっかり身なりを整えた永井くん。リラックスしたファッションも可愛らしい。
「朝メシ、食べますか?」
「へ!? あ、朝メシ?」
シーツにサッと身体を隠す。昨日全て見られたけれど、こうも明るいとさすがに恥ずかしい。
「はい、これバスタオル。そのままじゃまた襲いそうなんで、それ巻いて」
「お、お、襲……」
「シャワー浴びますか?」
コクコクと首を縦に振り、彼がリビングに戻ってからバスタオルを巻いてドアを開けた。
清潔な空間に息をつく。きれいに片付いているそのリビングの真ん中に置かれたソファ。右側にカウンターキッチンがあり彼が手元を動かしている。
「朝メシ、用意しとくんで。シャワーどうぞ、玄関に向かって右側です」
「あ、ありがとう……」
パウダールームで自分の体を見れば、胸元にひとつ紅い痕が残る。
ちゃんと見えないところにつけてあるのだなと変に感心してシャワーを浴びた。
彼と同じボディソープ。メンズ用のスーッとした香りが心臓をバクバクとさせた。
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