2.復讐計画

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「美濃さんが自分から仕事を辞めてもらえれば一番いいですよね」 「まあ……それができれば」 「じゃあ簡単ですよ」 「え? 簡単って復讐が?」 「はい」  復讐が簡単とはどういうこと? 「な、なに、どうやって?」 「藤原さんが幸せでいる、以上です」 「は?」  私が幸せでいるのが復讐? それはどういうこと? 「いやいやいや、復讐っていうのは証拠を見つけて、突きつけて、ギャフンと後悔させるっていうのが……」 「それやって、幸せですか?」 「し、幸せかどうかは別として、スッキリはするでしょ!?」 「復讐の本当のゴールはなんですか? スッキリしてそのあとどうなりたいですか?」  どんどん質問をぶつけられて、思わず下を向いて黙り込む。 「……風見さんと復縁することですか?」  永井くんの声が消え入るように小さくなる。すっと顔を上げ、彼の顔を見るときゅるんと潤んだ瞳がこちらを見つめていた。  もう一度、ローテーブルに目を落とす。  復讐の本当のゴールが何かはわからない。ただそこに伊吹との復縁はないと思う。    私のことを大切にしてくれたし、一緒にいた時間はかけがえのないものだった。いまも、伊吹への気持ちが少しだけれど残っている。  だとしても、燎子を選んだのは事実だ。申し訳ないけど、自分のことをフって乗り換えるような男性と、信頼関係を作ることは今後できないだろう。  私のことを大切にしてくれて、一途に思ってくれる人。そんな人をパートナーに選びたい。
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