7318人が本棚に入れています
本棚に追加
「藤原さんが欲しいです」
「わ、私……?」
「復讐が終わるまで、サブスクで」
サブスクって何? と首を傾げる。永井くんはプッと笑いながら少し離れて、私の喉元にとんっと人差し指を当てた。
「藤原さんの躰、復讐が終わるまで堪能させてください」
「躰?」
「はい、セックスするってことです」
「あー……」
怒りで頭が煮えていた私は、とんでもない提案をされても、正常な判断ができなかった。
あの子に復讐できるのなら、それでもいいか。この際、とことんやってやらないと気が済まない。
私を見下ろす永井くんの濡羽色の瞳。艶やかでセクシーで、胸の鼓動が早くなる。
復讐に協力するかわりに、セックスしたいってことだよね。しかもサブスクってことはほぼセフレ。したい時には応じろという横柄な提案。
……それも面白いかもしれない。しかも相手は社内一のイケメンエリート。楽しいだけなら不足のない相手だ。
いやいやいや、よく考えよう。めちゃくちゃだよね。いきなりセフレってなに?
「な、永井くん」
「はい」
「キス……」
「え?」
「キスじゃ、だめ? キスのサブスク」
もうとっくに頭のネジはぶっ飛んでいる。私はとにかくあの子に復讐したい一心で彼に返事をした。
「俺、そんなんで満足するお子ちゃまじゃないです」
「なっ……だ、だって……」
セックスしたら溺れそう。そうお腹の奥から湧き上がる何かを、気のせいだと押さえつける。
永井くんは少し考えたあとで、口を開いた。
「試してみますか?」
「何を?」
「セックスの相性」
「え?」
ぐっと体を引き寄せられて、耳元で彼がささやく。
「ヤッてみなきゃわかんないでしょ?」
耳朶に彼の息がふれて、ピクッと身体が小さく跳ねる。
最初のコメントを投稿しよう!