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「どうしたの?」
「……本当にいいんですか?」
ここまできて、帰るなんて選択肢はない。腹はとっくにくくってきた。
覚悟はもうできている。
彼の困ったような濡羽色の瞳を見つめて、小さく頷く。永井くんはすっと解錠するとドアを開けた。
それと同時にいきなり室内に引っ張られて、玄関横の壁に縫い付けられる。
ぐっと唇が重なって、目の前に美しい彼の顔が見えた。
ちゅっとわざとらしいリップ音を残して永井くんが離れる。
角度を変えて、もう一度。
いやらしく舌を絡めとられて、脳がとろけてくる。
「んんっ!!! ま、待って」
「逃げないで」
顎をぐいっとつかまれて、半ば強制的に唇を奪われる。苦しいくらいのキスなのに、ちっとも嫌じゃない。
むしろもっとしてほしくて、舌が貪欲になっていく。
「はぁはぁ……な、永井くん……」
薄目を開けると、暗闇の中に彼の顔が見える。ほんの少し上気したように見えるその顔は至極妖艶だ。
「あ、あの……」
そうつぶやくと、手を掴まれて部屋の奥へと連れこまれる。リビングを通りすぎ、その向こうにある部屋のドアを彼は勢いよく開けた。
月明かりが寝室のベッドを照らしている。荒々しくコートを剥がされ、どさっと押し倒された。それと同時に彼が覆いかぶさってきて、キスを落とす。
舌で弄ばれると、頭がぼーっとしてくる。永井くんは私のシャツのボタンをプチプチと外していった。
「しゃ、シャワー浴びたい」
「だめです。相性いいか確かめるんでしょ」
ジタバタと脚を動かしたところで全くの無駄。あっという間に、シャツを剥がされてブラジャーをつけただけの上半身を彼の前に晒す。
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