1.夜のサブスク契約

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「どうしたの?」 「……本当にいいんですか?」  ここまできて、帰るなんて選択肢はない。腹はとっくにくくってきた。  覚悟はもうできている。  彼の困ったような濡羽色の瞳を見つめて、小さく頷く。永井くんはすっと解錠するとドアを開けた。  それと同時にいきなり室内に引っ張られて、玄関横の壁に縫い付けられる。  ぐっと唇が重なって、目の前に美しい彼の顔が見えた。  ちゅっとわざとらしいリップ音を残して永井くんが離れる。  角度を変えて、もう一度。  いやらしく舌を絡めとられて、脳がとろけてくる。 「んんっ!!! ま、待って」 「逃げないで」  顎をぐいっとつかまれて、半ば強制的に唇を奪われる。苦しいくらいのキスなのに、ちっとも嫌じゃない。  むしろもっとしてほしくて、舌が貪欲になっていく。 「はぁはぁ……な、永井くん……」  薄目を開けると、暗闇の中に彼の顔が見える。ほんの少し上気したように見えるその顔は至極妖艶だ。 「あ、あの……」  そうつぶやくと、手を掴まれて部屋の奥へと連れこまれる。リビングを通りすぎ、その向こうにある部屋のドアを彼は勢いよく開けた。  月明かりが寝室のベッドを照らしている。荒々しくコートを剥がされ、どさっと押し倒された。それと同時に彼が覆いかぶさってきて、キスを落とす。  舌で弄ばれると、頭がぼーっとしてくる。永井くんは私のシャツのボタンをプチプチと外していった。 「しゃ、シャワー浴びたい」 「だめです。相性いいか確かめるんでしょ」  ジタバタと脚を動かしたところで全くの無駄。あっという間に、シャツを剥がされてブラジャーをつけただけの上半身を彼の前に晒す。
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