【夫婦としての在り方 Side棗】

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「……棗様、本日は18時半から、社長と長谷川社長との会食がございます。棗様もなるべく出席するようにと、社長が申しておりました」 「……分かった」  社長は俺が聖良と結婚したいと言った時。御令嬢との結婚をしたくないから、聖良と結婚するのだとすぐに疑った。確かにそうだった。  だけどどうしても聖良とじゃなきゃ結婚しない。他の人とは結婚したくないと説得して、ようやく結婚を許してもらえたのだった。  そして社長は、その時に一言こう言ったんだ。 「……棗、彼女と結婚したいのなら、本気で彼女を愛することだな。彼女を愛せる自信があるのなら、結婚を許してやろう」  その言葉は社長から最も聞きたくない言葉だった。……社長は、母さんという人がいるのに、愛人を作っていた。そしてその愛人の隠し子まで作っていてんだ。  母さんを裏切った男がそんなことを言うなんて、どうかしているとさえ思った。  そのせいで母さんは。社長と、いや親父と離婚することを選んだ。
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