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「聖良、ただいま」
「おかえりなさい。棗さん。今日もお仕事、お疲れ様でした」
「……ありがとう」
聖良のこの笑顔を見るだけで、俺は幸せなんだと思った。
聖良と生涯を共にすることを誓ったあの日から、俺はきっと聖良に惚れていたんだと思う。
この笑顔を見れる日を、どれだけ待っただろう。愛おしい聖良。愛している、聖良。
「棗さん、どうかしましたか?」
「……いや、何でもない。風呂に入ってくる」
「分かりました。着替えを用意しておきます」
「ああ、よろしく頼む」
「はい」
聖良は俺の着替えを取りにバスルームへと行った。約三十分後、風呂から上がると聖良は食器を洗っていた。
「聖良、風呂ありがとう」
「いえ」
「……なあ、聖良」
「はい。何でしょうか?」
聖良は食器を洗う手を止めて、不思議そうに俺の方に振り返った。
「……いや、やっぱり何でもない」
子供のことを聞きたいと思ったけど、それは出来なかった。
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