【わたしはあなたの妻です】

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「うわ、すごい……。美味しそう……」  普段では食べられないような豪華な食事たち。少しだけテンションが上がった。 「好きなものを食べるといい。……俺は挨拶周りをしてくる。そこで食べていろ」 「分かりました。……待ってます」  わたしは食事をしながら棗さんに言われたとおり、そこで待つことにした。そして棗さんが居なくなったすぐ後のことだった。 「……あなたが、聖良さん?」   「え……?」  声がした方に振り返ると、そこにはヒールの高いパンプスを履いた、スタイルのいいとてもキレイな女性が立っていた。  ……え、誰? 「……へぇ?棗さんが結婚したって聞いたけど、本当なんだ?」 「あの……。あなたは……?」 「わたしは遠山敦子(とおやまあつこ)。……棗さんの元婚約者よ?」 「……え?」  言葉を聞いて驚いた。元婚約者……?そんなの、棗さんの口から聞いたことない……。  婚約者がいたなんて、わたし、知らなかった。
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