【偽りの愛の言葉】

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「そうだ。……それより、お前にひとつ、言っておくことがある」 「……何でしょうか」 「明後日から一週間、出張で家を空けることになった」 「そうですか。……分かりました」  ならわたしは、この家で気楽に過ごそう。何も考えず、ひたすら一人の時間を過ごそうと思った。それなのに……。 「聖良、お前も一緒に来い」 「え?」  わたしも一緒に?なぜ? 「お前も来るんだ。行き先は韓国だ」 「えっ、韓国……ですか?」 「そうだ。新しい事業を韓国で行うことになった。お前も鷺ノ宮グループの妻として、同行してもらう」 「……分かりました」  なぜわたしも行かなければならないのか。その理由は分からないけど……。わたしは棗さんという人間に支配されている。    断ることは出来ない。だから、一緒に行くしかないと判断した。 「明日から荷造りをしておいてくれ」 「……はい。分かりました」 「聖良、もう寝ようか」 「……はい」
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