【わたしはあなたの妻です】

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「なんだ?気になることがあるなら、遠慮なく言ってくれ」 「……じゃあ、遠慮なく言わせてもらいます」 「ああ。なんだ?」 「……あの、元婚約者の方を名前で呼ぶのは、やめてください……」 「え?」 「……名前で呼ぶのは、妻である、わたしだけにしてください」  なんでそんなことを言ってしまったのか。わたしにも分からなかった。  ……だけどそれは本当に無意識で。自分でも気付かないうちに、そんなことを言ってしまっていた。 「わたしは、あなたの妻です。妻を名前で呼ぶのは当たり前だと思います。……だけど、わたし以外の他の女性を、名前で呼んだりしないでください」 「……聖良、すまない。もうそんなことはしないよ。本当にすまない」 「……いえ。助けてくれて、ありがとうございました」 「気にするな」  棗さんは優しくわたしの頬に触れると、そのまま優しくキスをしてくれた。そしてそのまま抱きしめてくれた。
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