【偽りで手に入れた幸せ】

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【偽りで手に入れた幸せ】

「聖良、こっちへ来い。一緒に寝よう」 「……はい」      その日の夜、わたしは棗さんの腕に抱かれながら眠りについた。  棗さんの腕の中は逞しくて、温かいんだなと思ったけど。そんなこと言うと恥ずかしいから、棗さんには内緒だけど。  そしてその日からわたしは。棗さんへの想いが少しずつだけど変わっていくことを自分の中で自覚し始めようとしていた。    韓国に来てからちょうど今日で一週間が経った。この一週間、わたしは棗さんのそばにいて思ったことがあった。  彼が本当はとても仕事に熱心な人だということだった。彼の仕事に対する姿勢はとても素敵だと思ったし。鷺ノ宮グループの御曹司なんて、所詮上辺だけだと思っていたけど。    彼は本当に仕事に対する姿勢が素敵な人だった。そして韓国に来て夕来社長と打ち合わせをしていても、話を聞く姿勢もとても素敵だった。  仕事にちゃんと向き合っている人だということが分かったただけでも、進歩かな?
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