【偽りで手に入れた幸せ】

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「資金が必要になったら、言ってくれ。手を貸してやる」 「はい。……ありがとうございます」 「新事業のことについては、わたしが後で会見で伝える。お前も同席しなさい」 「……分かりました」 「帰ってきてそうそう、呼び出して悪かったね。明日はゆっくり休みなさい。……聖良さんも、棗のサポート、一週間ご苦労だったね」 「……いえ。わたしは鷺ノ宮家の妻として、当然のことをしただけです。お気になさらないでください」  棗さんはわたしが何を言うのかと、ドキドキしながらきっと聞いていただろう。……だけど偽りの結婚した夫婦だけど、夫婦円満に見せることはわたしにだって出来る。  余計な心配をかけたくないという気持ちは、わたしにだってあるから。だか余計な心配をかけないように見せることは出来る。  それもわたしの妻としての役目だと思っている。夫のサポートは、妻の役目である。  多分、きっとそうなんだろうな……。
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