【偽りで手に入れた幸せ】

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 一日を掃除や洗濯などをして過ごすけれど。特に外出はしない。買い物くらいは出かけるけど、これと言って出かけたりはしない。  後は棗さんのシャツのアイロン掛け。バルコニーに咲いてる花の花壇の水やりなどをして過ごしている。  確かに今こうやってやってることも、平凡なわたしにとっては当たり前のことだ。  棗さんが花の水やりをするなんて考えれないし。なんかそれをちょっと想像したら、笑ってしまいそうだ。  ……え?ちょっと待って。わたし今、笑ってしまいそうだと思った?  自分でもびっくりした。そんなことを思うなんて。わたしまた、あの頃のように笑えるようになるのだろうか……?    そしてその日の夜、棗さんが会食を終えて帰ってきたのは十時過ぎだった。  わたしは一人で余っていたお昼の残りを食べてお風呂に入ってから、後はもう寝るだけだったけど。  いつも寝る時は棗さんが一緒だから、なんとなく起きて待っていた。待つ必要はないと言われるだろうけど。
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