【偽り夫婦の距離】

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 棗さんに抱かれる時はいつも、愛を感じるかもしれないと思っているけど。実際には分からない。 「聖良……」 「んっ……っ」  深く唇を重ねられて、感覚を棗さんに集中させられる。思わず棗さんの背中に手を回してしまった。   「……そうやって煽るな」   「ちがっ……そんなつもりは……」  そんなの聞いてもらえるわけもなく、棗さんは抱く準備を始める。  わたしの首や胸などを唇を這わせて、わたしの入口を指でなぞってくる。   「ゃっ……」    充分に濡れたことを確認してから、棗さんはわたしの中にゆっくりと入ってきた。 「んんっ……」  わたしの中を欲望と理性で掻き乱しながら、指を絡めて握りしめてくれる。 「聖良……」 「やっ、あっ……」  名前を優しく呼びながらも、その行為は段々と激さを増していく。わたしは棗さんの背中にギュッと手を回した。  そしてその瞬間……。わたしは思わず耳を疑う言葉を聞いてしまった。 「……好きだ。聖良」  
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