【お互いの理解への関心】

1/11
前へ
/125ページ
次へ

【お互いの理解への関心】

「……え?」 「俺たちはお互いにお互いを、何も理解出来てないと思った。だから少しでも距離を縮めたくて」 「……そんな。なんか、すみません」  わたしが棗さんに対しても、鷺ノ宮家に対しても、あまり心を開こうとしないから……?  なんとなく、そんな考えが頭に浮かんだ。 「気にするな。お前のせいじゃない。……ずっと考えていたことだから、気にするな」 「……はい」 「さ、まずは乾杯しよう」   「はい」  棗さんは小さく微笑むと、運ばれてきたシャンパンをグラスに注いでくれた。そしてお互いにグラスを交わして乾杯をして、シャンパンに一口口を付けた。  シャンパンのほのかな香りと、風味が口いっぱいに広がった。それは今まで飲んできたのものと全然違くて。こっちのほうが断然美味しい。 「どうだ?」 「美味しいです。……こんなに美味しいシャンパン、初めて飲みました」 「そうか、それはよかった。 最高級品のシャンパンをセレクトしてもらった」
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加