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「お待たせ、聖良」
「はい。大丈夫です」
「いつも花に水あげてくれて、ありがとうな。おかげでキレイに咲いてるよ」
棗さんはそう言いながら優しい笑みを浮かべていた。そして花を眺めながら「それが終わったら、出掛けようか」と言った。
花に水をやり、上着とカバンを持ち、わたしたちは初めての遊園地デートへと向かった。
✱ ✱ ✱
「聖良、着いたぞ?」
「はい」
目的地の遊園地に着いたはいいけど、車から降りてから、何かがおかしいことに気付いた。
そう、車が棗さんの車の一台だけしか止まっていないのだ。そしていつも賑わっているはずの遊園地の園内にも、誰一人スタッフ以外の人がいないのだ。
一体これはどういうことなのだろうか……?
どうしてわたしたち以外、誰もいないのだろうか……。
わたしの手を握りながら入口まで歩いていく棗さん。そしてその入口で、わたしのその疑問の答えはすぐに明らかになった。
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