【鷺ノ宮夫婦の初めてのデート】

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「……もしかしてイヤ、だったか?」 「い、いえ。そういう訳じゃ……」  イヤな訳はない。そこまでしてくれるなんて、びっくりしたけどすごいなとも思うし。……すごい人がわたしの旦那なんだなと改めて思った。  だけどその気持ちは嬉しいし、受け止めていきたいとも思っている。  今日の日のために、わたしはどの服を着るか、どんなメイクにするか。ずっと考えていたくらいだから。  それはもう、デートだから。単純にそれだけの理由だ。だけど可愛いとか、キレイだとか。  何かあるとすぐに褒めてくれる棗さん。    褒められるようなものでもないし、褒めてもらうなんてのもおこがましいくらいだ。 「よかった。じゃあ俺たちふたりの初めてのデート、スタートしよう」 「……は、はい」  棗さんはちょっぴり嬉しそうに微笑んでいた。そんなわたしも、デートと聞いて少しでも緊張しているけど、今日という日を目一杯楽しみたいとも思った。
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