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「今日は貸し切りで俺たちしかいない。だから順番に乗っていこう」
「は、はい。分かりました……」
棗さんは心なしか、少しテンションが上がっているようにも見えた。まぁ、わたしの勘違いかもしれないけど……。
もし今日このデートを、棗さんが楽しいと思えたら、わたしはそれでもいい。
まず最初はメリーゴーランドに乗った。メリーゴーランドに乗るなんて、子供みたいだなと言われたり、思われたりしないかな?とか思っていたけど。
棗さんは「乗ろう」と言って一緒に乗ってくれた。
「……懐かしいな」
子供の頃を思い出す。子供の頃、両親とよく遊園地で遊んだ気がする。
その頃わたしはメリーゴーランドが特に大好きだった。何回も乗りたいと言うほどだったと思う。
でももうそれも何十年も前の話だし、あまり覚えてはいない。メリーゴーランドが好きだったことだけは覚えている。
「聖良、次はあれに乗ろうか」
そう告げて棗さんが指差したのは、小さめのジェットコースターだった。
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