【鷺ノ宮夫婦の恋心】

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【鷺ノ宮夫婦の恋心】

「聖良、行ってくる」   「行ってらっしゃい。棗さん」  夫婦ふたりでの初めてのデートの後から、わたしたちは少しだけだけど。お互いのことを知る努力を始めた。 「今日は仕事をなるべく早めに切り上げてくる。夕飯を作って待っていてくれ」 「はい。分かりました」  棗さんが出社するのを見送った後、わたしは掃除や洗濯。そして花の水やりなどをした。  これがいつもの日常生活。なんにも変わらない普通の生活。……だけど棗さんがわたしのことを本気で愛してくれているんだと。あのデートの時に初めて知った。  その気持ちを知って複雑だった。だけど一生愛してやると言われた時、わたしの心は確かに彼の言葉に掴まれていた。……そしてわたしは、彼のことをもっとよく知っていきたいと、初めてそう思った。  彼のことを好きになれたら、わたしはもっと幸せになれるのだろうか……?そんなことを思うようにもなった。  結婚したんだから、幸せになりたい。確かにそう思う。
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