【鷺ノ宮夫婦の恋心】

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 だからわたしは、そんな棗さんのために美味しいものを食べてほしくて。一生懸命ご飯を作った。  ……棗さんは社長のようにはなりたくない。前に社長の前でそう言っていたけど。     だけど誰よりも鷺ノ宮グループのことを想っているのは、確かに棗さんだと思う。……あんなことを言っていても、結局棗さんは社長に憧れているんだ。社長みたいにいつかはなりたいと、きっと思っている。  棗さんのそんな所を、わたしは尊敬しているし。そしてその道をずっと歩んでいってほしいと、わたしは思っている。  棗さんがもし、わたしのことをずっと愛してくれるというのなら、わたしも彼をこれから懸命に愛していこう。……ううん、愛していくんだと心に誓ったんだ。  今はまだ愛しているという気持ちになっているのかは自分でも分からない。……だけどその気持ちが日に日に大きくなっていることは、確かなのかもしれないとそう思うようにもなった。    少しずつ、変化している……。
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