【鷺ノ宮夫婦の初めての新婚旅行】

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「……ありがとうございます」  棗さんがそこまでしてくれているのに、わたしは棗さんに何も出来てない気がした。……なんだか申し訳ない。 「聖良。……食べたら風呂に入ろう」 「え?あ、はい……。分かりました」 「デザートもあるから、たくさん食べろよ?」 「はい。食べます」  その後ふたりでゆっくり夕食を食べ、部屋へと戻った。  部屋に戻ると、棗さんはギュっと抱きしめてきた。 「……え?棗、さん……? どうしましたか?」  抱きしめる力は優しくて、でも温かくて。……その温もりは、今までで一番優しい気がした。  そしてわたしは、その温もりを受け入れるかのように。棗さんの背中に手を回した。  なぜだか分からないけど。その温もりがとても心地よくて。……だけどその瞬間に気付いたのは。 「……んんっ」  わたしは多分もう、棗さんという人間に惹かれているんだなってことだった……。  棗さんとキスをすると、なぜかドキドキする。そしてフワフワした気持ちになる。
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