【夫婦としての在り方 Side棗】

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 波音聖良。ホテルのコンシェルジュとして働いていた女だ。一目見た時に思った。……いい女だ。  キレイな女だ。大きな瞳に、可愛い涙袋。ぷるっとした唇。……コンシェルジュをやってるだけあって、やはり身なりの整った女性だ。この女なら、結婚相手にしてもいいと、その時思った。    実際に買収計画が出た時、打ち合わせで社長に同行した時に、ホテルで何度か見かけたこともある。その時から、可愛い。キレイだとは思っていた。  その時から出ていた結婚話。無理矢理結婚させられるのは嫌だったから。自分で結婚する相手を選びたい。そう思った。  ……その時にふと頭に浮かんだのが、聖良の顔だった。どうも初めて見かけた時から、頭の中から離れなくて。気が付けばいつも頭の中には、聖良のことばかり浮かんでいた。  連絡先を知りたいとも思ったし。いきなり結婚なんてドン引きされると思って、交際を申し込むつもりでもいた。  だけどあの時、交際話を飛び越え、一つ先の結婚になった。
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