65〈黒木〉※

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65〈黒木〉※

「……あっ、……あっ、くろき……っ、はぁ……っ」    久しぶりだからゆっくりと。そう思っていたのに、一度動き出したらもう止められなかった。   「野間……好きだ、好きだ、野間……っ」 「んっ、すき……っ、すきっ、アぁッ、ン……ッ」  野間の心はずっと『好き』の感情であふれ、幸せそうにとろけきっていた。  俺の心もまるで野間への気持ちが爆発したように『好き』であふれ返る。 「野間、痛く……ないか?」  久しぶりなのに無茶をしてる自覚があった。   「んっ、へ……きっ、ア……ッ、あっ、きもちぃっ、んんっ、すき……すきっ、くろき……っ」  『キスしたい……』  俺もしたい。  唇をふさいで夢中で舌を絡め合うと、野間の心が喜びであふれ俺のものをぎゅっと締めつけた。 「は……っ、野間……っ」 「……んぅ、ぁっ、……ンん……ッ」   尋常じゃないほどの気持ちよさに、何度も絶頂をむかえそうになる。  ダメだ……もうもたない。  野間の『大好き』に包まれながら抱き合うと、こんなにも違うものなのか。  必死で達しないようこらえていたがもう限界だ。 「は……ぁっ、野間……っ! う……ッッ!!」  経験したことのないほどの快感がつらぬき、俺は達した。  こらえきれずに野間よりも先にイくなんて初めてだった。  脱力して倒れ込むと、野間が優しく俺を抱きしめる。 『うそ、黒木が先にイくとか嬉しすぎんだけどっ。余裕ない黒木嬉しい。すげぇ可愛い。好きっ』  また可愛いって……。   「……も……お前、少し黙れ……」 「え……呪文唱えようか?」 「……お前な」     からかっているのかと顔を上げてみると、紅潮して涙目でトロトロに溶けきった顔で、でも俺を見つめる瞳は真面目だった。  野間はいつでもまっすぐだな。 「呪文は封印だ」 「……うん。……ぁっん……」    俺は野間の中から自身を抜き、ゴムを外して付け替えた。 『あ……黒木またおっきくなってる。うっそ、やばっ。嬉しいっ』 「……野間……その顔……」 「ん?」 「……理性吹っ飛ぶ……」 「……へ?」  さっきまでの真面目な瞳が、期待でキラキラした瞳に変わった。トロトロの顔はそのままで。 『理性吹っ飛ぶって……いままで見せられた顔となんか違ぇの……? 』 「見せるか?」 「うぇ……っ?!」 『いや、いいっ、いいっ、見せんなっ』  必死に首を振る野間に、映像を見せてやった。  俺がどれだけ余裕ないか少しはわかってくれ。 「い……いや、さすがにうそだろ……っ?」 『これは違うだろっ。黒木の想像だろっ?』 「正真正銘、いまのお前だ」 「……ありえねぇ……っ」 『くそエッロッッ!! 恥っずっっ! こんな顔、好きなやつに見せていいわけねぇじゃんっっ! うそだろっっ! もう俺死ねるっっ!!』  脳内で暴れる野間に俺は言った。 「なに言ってる? 最高に決まってるだろ」 「どこが……だよっ」 「お前が俺に感じてる顔だぞ? 大好きって瞳で、俺だけに見せるトロットロにとろけた顔。ほんとに最高」 「う……っ」 『言葉にされたら余計に恥ずか死ぬってばっっ!』 「見たらわかっただろ? もう全然余裕ないんだよ。だから許してくれ」 「なに、を?」    わかってなさそうな野間の足を持ち上げ肩に乗せる。 「え……っ」 『なにっ! 恥ずいってこれっ。マジか……っ』 「すぐ入れていいか?」 「う、うん……」    言質はとった。俺は野間の中に一気に奥まで突き入れた。 「ひぅっ! ああぁぁ……ッッ!」 『黒木……っ!』  野間は引きつれた声を上げ、ビュッと白濁液を飛ばし仰け反った。   「え、野間……奥そんなによかったか?」  ビクビクと身体を震わせて返事がない。 「野間?」  どうやら頭がぶっ飛んでるようだ。  頭を撫でてキスをすると「ん……」と声をもらし、やっと視線が合わさった。 『ごめん……イッちゃった……』 「なんで謝る? 入れただけでイくとか可愛すぎだ。そんなによかったか?」 『……だって……ずっと黒木とつながってたくて』  質問と答えが合わないが、また言うことが可愛い……。   「つながってたくて?」 『だからさっき……ずっとイかないように必死で我慢してたのに……。なのに不意打ちで奥までって、そんなのイッちゃうだろ……』    野間の言葉に、はぁぁ、と深いため息がでた。  本当になにもかもが可愛すぎる。 「うごいて……いいよ……」 「まだしんどいだろう」 『動きたいって、聞こえた』 「え?」  おかしい。考えないようにしてたのに聞こえるのか? 『考えないように、って思った時点で聞こえるだろ』  野間は小さく吹き出して笑った。  冷静なフリはもう無理なのか。……格好悪いな。 『冷静な黒木はカッコよくて好きだけど、余裕ねぇ黒木、可愛くて好き。ってかすげぇ嬉しい。いっぱい可愛いも好きも聞こえるし……俺ほんと、すげぇ幸せ……』 「……俺は……煽られすぎてつらい」  嬉しそうに頬を緩ませた野間に、うなじをグイッと引き寄せられ唇をふさがれた。 『キスしながらなら平気。だから動けよ』 『……明日ほんと絶対、唇腫れてるぞ』 『二人でなら怖くねぇもん』 『……明日はずっと家の中だな』  キスをしながら二人で笑った。 「好きだ、野間。……ぅっ」  ふたたび動き出すと、イッたばかりの野間の中は敏感に反応して俺のものをぎゅうぎゅうと締めつける。  だめだ、気持ちよすぎて優しくできそうにない。本当に格好悪いな……。 「……んっ、ンッ、……ふぅっ……」 『黒木……好き……っ」 「野間、野間、大好きだっ」 『好き、好き、大好き……っ、黒木っ』  結局大好きなキスもできなくなるくらいに、野間は感じまくってよがった。   「アッ! ん……っ、だいすきっ、あンッ、あっ、ゔぅーーーッ」 「好きだ、大好きだ、野間っ」    声で心で何度も『好き』を伝え合う。  何度言っても伝えきれないほど、野間が大好きだ。     「ンンーー……っ! あっだめ、やばい、やばいぃっ、おかしく……なるぅ……っ!」  野間はひきつるような声をあげ、どこか呼吸がおかしい。   「おい、大丈夫か? やっぱり少し休むか?」 「やっ……やだっ、やだやだやだっ! んんーーーーっっ!」 『やめるなっ! このままっ! 奥っ! 奥っ!』  「はっ、ぅっ、野間っ」  野間の言葉に導かれて何度も奥に突き入れた。 「ああぁあっっ! イイッ! んんーーっっ!」  野間の乱れ具合がやばい。可愛い。ぎゅうぎゅう締めつけられて、俺はまた先にイきそうで死ぬ気でこらえる。 「あぁッ! うそ、も……イクッ、イクッ! イッちゃう……っ!」 「イけよ、野間っ」  頼む、先にイッてくれ。   「ひぁあっ、あぁっ!! くろきぃーーーッッ!!」 「野間っ、は……ッッ!! ぅ……っ」  果てたあとはお互い頭がぶっ飛んで、しばらく動けず抱きしめ合った。  イク瞬間に俺の名前を叫ぶって……ほんと可愛い……。    少し落ち着くと野間の心がまだ俺を欲していて、俺も抑えるべきだと心ではわかっていても欲望が隠しきれなかった。  野間を休ませてやることもできずに、また俺たちは身体をつなげた。    心を完全に解放するのは、かなり厄介だと思い知る夜となった……。    
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