夕日と猫と肇ちゃん

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いい大学に入るために母に勧められて、地元の公立高校ではなく、大阪にある私立の進学校を受験した。 合格することは難しいと言われていたその高校の理数科に、たまたま合格した。 母が喜んでいたことが、少し嬉しかった。 その学校は男子校で、真言宗を掲げる宗教学校だった。 毎朝ある全校朝会では、全校生が校庭に集められ、般若心経を唱えさせられた。 髪型は、校則で刈り上げと決められており、全校朝会を後ろから眺めると、刈り上げられた青い頭がずらりと並ぶ。 何とも異様な光景だ。 そんな中、肇ちゃんの髪型は、ひと際、目立っていた。 リーゼント。 昔の不良と呼ばれる人たちが、よくしていた髪型だ。
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