夕日と猫と肇ちゃん

その後、担任から今後の学校生活に関わる諸連絡があり、それが終わると下校となった。
僕達は最寄駅まで一緒に歩いた。

まさかとは思ったけど、そのまさかで、僕達は同じ奈良県出身だということが判明した。
当然、帰りの電車も一緒になる。

うちの学校は、関西でも有数の進学校のため、生徒は大阪府にとどまらず近隣の府県からも集まってきた。中には、三重県から近鉄特急に乗って通っている生徒もいた。名張市出身の彼のあだ名は、そのまま、「名張」になった。

ともあれ、僕と肇ちゃんは、その日から毎日、電車で一緒に帰ることになった。できることなら、これ以上、親しくなりたくはなかったが、断る理由が見つからなかった。例え断る理由があったとしても、僕に切り出す勇気があったとは思えないけど。