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「…うう」
「おい!大丈夫か!」
目を覚ますと、僕は自室のベッドの上に横たわっていた。
圭太がベッドの横で、心配そうな顔で僕の顔を覗き込んでいる。
「はは、大丈夫…じゃないかもしれない」
今までに経験したことがないほどの痛みに、全身の筋肉が悲鳴を上げている。
視界も不安定で、圭太の顔もかろうじて捉えきれる程度だ。
「だから、病院に入院すればよかったんだ。意地張ってここにいたって元気になんてならないよ…」
圭太の言うことはもっともだった。でも、それをすることができない理由が僕にはあった。
「それをしてしまえば、僕は彼女に忘れものを返すことができなくなってしまう」
「…そんなに大事なことなのかよ」
「そんなに大事なことなんだ」
僕がそう言うと、圭太は鼻をすすりながら、赤く腫れた目元を荒々しく拭う。
「わかったよ、じゃあ俺が今からその人のことを無理やりでも見つけてくる。
だから、その時は、ちゃんと病院に入院するんだぞ」
「…はは、わかった…よ」
僕は体に残る力をなんとかかき集めて、そう答える。
そして圭太は僕の言葉を聞き届けると、力強く頷いた。
「じゃあ俺、行くから!約束だぞ!
・・・じいちゃん!!」
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