4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
一人になってからも、僕はピンクの服にピンクの靴を履き、ピンクの帽子を被っている。アマチュアの絵描きとして、頼まれて壁やらシャッターやら看板やらポストやらに絵を描いている。
使う絵の具の色はひとつだけ。ピンク。いろんな濃さのピンクを使い分けて描く。彼女が人生を捧げていた世界をピンクに染め上げる活動を、僕が引き継いだという訳だ。
今日も世界の一部がピンクに染まる。彼女の心の色。愛の色。
ああ、でも、今日は、ピンク一色じゃない。珍しく、黒も使った。なにせパンダを描いたのだから。児童館の扉に、仲良く寄りそう親子のパンダを。
* 終 わ り *
最後まで読んで下さってどうもありがとうございました!
最初のコメントを投稿しよう!