モンカくんとジャンカちゃん

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モンカくんとジャンカちゃん

9077997a-74b2-42f3-9ddf-b45413b52157 冬に向かう透きとおった空の下、 一本の木の前で、女の子が足を止めました。 白い綿のような実をつけたその木は、 ハートの形をした色とりどりの葉を 陽の光に透けさせて、 T字路の角に静かに佇んでいました。 女の子は、道の向こうからやってきた 同じ年頃の男の子を呼び止めて、 その木の名前を尋ねました。 「知るもんか」 「威張ることないじゃんか」 笑われた男の子は、ふてくされた顔をして、 女の子から求められるままに 手に持っていたスマートフォンを渡しました。 女の子は、男の子が覗きこむ中、 検索窓に『カラフルな葉っぱ』と入力して 画像検索をかけました。 「それだけの情報で出てくるもんか」 「やってみないと分からないじゃんか」 男の子は、女の子の指が 検索結果を一番下までスクロールしても 答えを得られなかったのを見て、 「ほら見ろ」と憎まれ口を叩きました。 すると、女の子は目に涙を浮かべて、 男の子のことをバシバシと叩きました。 叩かれた男の子は、 慌てたようにスマートフォンを操作して、 その木の名前を見つけてやりました。 それは、『ナンキンハゼ』という名前でした。
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