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強い日差しが照りつけるT字路で、
女の子と男の子がばったり出会いました。
二人とも立ち止まって俯いています。
白いシャツを着た男の子の首筋を、
汗が一筋伝いました。
女の子は、意を決したように顔を上げて、
「一緒に行く?」と尋ねました。
彼女の胸元を、髪がさらりと流れました。
「一緒になんか行くもんか」
男の子は、大人に向かう掠れ声で
そう言いました。
「じゃあ先に行けばいいじゃんか」
女の子はそう言って、
大股で歩いていく男の子の後ろ姿を
見送りました。
緑色の実がなるナンキンハゼの木で、
ミンミンゼミが鳴いていました。
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