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それはよき夫、父親、そして家族の一員であるのを相手の親にも早いうちに理解してもらった方が家族間での立ち居地もあらかた定まると思っていたからだ。
なのに、妻の母は、都会には来たくないの一点張りだった。
本心は田舎の家に比べれば狭い家でDと何ヶ月も一緒にいる自信がないというはずだ。
決して嫌いではないが打ち解けるには時間が掛かるという印象を与えしまっていて、娘が授かり、ただでさえ気を張らねばならない時期には御免だったのだろう。
Dは久しぶりの独身生活をそれなりに満足していた。嫁家族にも不満を漏らす事なく、金曜日などは家に同僚を呼んでは飲み会を開き、酔いに任せて後輩の女の子に多少のちょっかいも出すことを忘れず、未だ雄であるのを意識させた。
決してはめを外すまでには至らないDは頼りがいがあり遊び心も兼ね備えていると匂い付けできていた。
一度、積極的な後輩の女社員が酔っ払い、体を寄せてきたのを極力、女の子の自尊心を傷つかないようにやんわりと所帯持ちという理由で断った。
その場に居た女性社員らからの株は急上昇しDも思いも寄らぬ評判の上がりように笑みが止まらなかった。
職場での女社員からの視線に気がつかないようにするのに苦労した。それでいて、Dが別の飲み会で泥酔してしまった時、Dは同僚の女とキスをしてしまったが、「酔っ払いすぎていた」と言う事で誰しもが悪いのは酒だったというDの信頼は磐石なものになったのを感じ取った。
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