恋【三田村】

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 幸せそうな進藤を見ていたら、帰したくなくなった。 「進藤、まだ飲み足りないぞ。ほら、ブランデーお代わりだ」  バーテンダーから受け取った新しいブランデーを進藤の前に置いた。 「成海、一杯だけの約束だろ」 「僕はまだ飲み足りないんだ。付き合え」 「何かあったのか?」  間宮かおりの事が浮かんだ。  今朝会った彼女は綺麗だったし、可愛かった。  彼女に会いたいな。  こんなに会いたくなるって事はやっぱり彼女の事が……。 「なあ、進藤」 「うん?」 「殺し屋を雇うにはどうしたらいいんだろうな?」 「はあ?」  進藤の眉が寄る。 「三田村成海を殺して欲しいんだよ」 「なんで?」 「正確には死んだように見せかけてもらいたい。そうすれば三田村家から解放される。それで普通の男になって、好きな女を抱きたい」 「好きな女が出来たのか?」 「どうやらそうみたいだ」  今朝、間宮かおりとエレベーターで会った時、自分の気持ちは誤魔化せないものだと気づいた。  僕は彼女に恋をしている。
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