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進藤がブランデーの入ったグラスを傾け、フフッと笑った。
「間宮かおりさんだろう?」
彼女の名前が出るとは思わなかったから驚いた。
瞬きをして進藤を見ると「常務の事はよくわかるんです」と、得意げに言った。その顔がムカつく。全くこの男は有能過ぎる。
誤魔化すべきか一瞬悩むが、進藤は嘘を見破ると思ったから、「そうだ」と素直に認めた。
「進藤、お前が僕の立場ならどうする? 諦めるか?」
進藤が腕を組み、うーんと唸る。
「諦められる程の想いだったら諦める。諦められない程だったら周囲の反対を押し切ってでも好きな女性を手に入れる。結局、気持ちの強さで行動が決まると思う」
つまり、どれ程、間宮かおりが好きかという事か。
「進藤は諦められない程、水原さんが好きか?」
「当たり前じゃないか。じゃなきゃ10歳も年下の部下と付き合ったりはしない」
水原さんへの真剣な気持ちが伝わって来た。水原さんに教えてあげたら喜ぶだろうな。
進藤は何が一番大事かちゃんと自分の中の優先順位がわかっているんだな。
僕にとって間宮かおりは何番目だろうか?
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