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03.最高のクリスマス
「お父さん、お母さん。今日はありがとう。雪だるまも作れたし、雪合戦もできたからすごく楽しかった。最高のクリスマスだよ」
クリスマスケーキを食べる前、奏多は両親にそう言った。奏多のそんな言葉に二人は満足そうな顔。奏多は自分の物足りなさを両親に見透かされずにすんだことに安心する。
寝る前に奏多はカーテンをそっと開ける。ベランダに置いた『かき氷だるま』は真っ暗な空を背景に、黒豆の目でリビングの方を見つめたまま。
雪は降らないけれど、だいぶ冷え込んだ空気のおかげで、『かき氷だるま』は、まだ溶けてはいない。
「早く寝ないとサンタクロースは来ないし、プレゼントもないぞ」
お父さんが悪戯っぽく奏多に言った。家族のクリスマスパーティーも終わり、あっという間に寝る時間。
「うん、わかった。おやすみ、お父さん、お母さん」
リビングのカーテンを閉めた奏多は、自分の部屋のベッドに潜り込む。
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