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サンタって本当にいるのかな。あやしいな。本当はお父さんがサンタをやってるんじゃないかって友達は言ってるけど、僕のお父さんはサンタって感じでもない。サンタはもっとおじいちゃんだし。
じゃあ、やっぱりサンタはいるのかな。どこかに本物のサンタが。
奏多は目を強くつぶったまま、とりとめもなく考える。
もし、本物のサンタがいるのなら、ロボットの犬なんていらないから、本物の雪遊びに連れて行ってほしい。雪の山でソリを滑ったり、友達みんなで雪合戦をしたり。そういう本物の雪遊びがしたいんだ、僕は。
「なら、今から一緒に雪遊びに行こうよ」
どこかからそんな声が聞こえた。うとうとしていた奏多はハッと目を覚ます。眠い目をこすりながら起き上がると、真っ暗なはずなのにぼんやりと白い塊。
ベッドの脇に立った『かき氷だるま』が、奏多を見つめていた。黒豆でできた目と口がやさしく笑いかけている。
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