黒豆は冬空の色に染まらない

03.最高のクリスマス

「じゃあ、さっそく雪の世界で遊ぼうよ！」

　『かき氷だるま』の声が雪の世界に響くと、奏多の通う小学校の友達もみんな出てきた。あの北の町から引っ越して来た凛太郎も。

「さっそくみんなで雪合戦しよう！」

　奏多は雪の世界に飛び出し、敵味方に分かれて雪玉を投げ合う。奏多が投げた雪玉が凛太郎の背中にぶつかり、白い粉のように崩れる。今度は凛太郎が奏多を狙って雪玉を投げるポーズ。奏多は背を向けて逃げようとするけど、雪に足を取られて転んでしまう。

　凛太郎の投げた雪玉は見事に奏多のかぶったニット帽にぶつかって、やっぱり白い粉のように粉々に砕ける。痛さの代わりに奏多のお腹の底から笑いが込み上げる。ゲラゲラゲラゲラと。どうして雪の玉を作って投げてぶつけ合うだけでこんなに楽しいんだろう。