01.眠気さえもかき消す

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「雪合戦って言って、積もった雪から雪の玉を作るんだよ。そしてその雪の玉をみんなで投げ合う。雪の中を敵と味方に分かれてね」  凛太郎の話を、奏多は憧れの気持ちで聞く。真っ白な雪の中、雪を投げて遊ぶ自分の姿を想像しながら。凛太郎は今年の夏、北の町からこの南の町へと引っ越してきた友達。 「ソリで遊ぶも面白いよ。空き地とか公園の雪を山積みにして、その山をソリですべる。すごくスピードが出てドキドキするんだ」  奏多はその話を聞きながら、自分が真っ白な山の斜面をソリで滑り降りる姿を思い浮かべる。氷のような冷たい風さえも心地よい。  でも、それは奏多の想像の中の話。実際の雪の世界なんて知らない。奏多の胸に雪の世界への憧れだけが募る。憧れは降り続ける雪のように、奏多の胸に積もり続ける。
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